リスケを活用した会社の再生とは!

1 はじめに

 リスケとはリスケジューリングの略称です。

 会社の中には銀行債務が過大になり、そのままでは銀行への融資金が返済できず、貸倒れ債権と認定され銀行取引が停止され破産状態になる会社も少なからず見られます。

 銀行への債務の返済条件が緩やかになれば、その他の一般債務の支払いは苦しいながらも可能だと思われる会社も多々あります。

 銀行がリスケしてくれれば、そのことは会社の取引先にはわからずこれからも取引を継続してくれるものと思います。

 リスケで銀行は元本のカットはせず、せいぜい利息や損害金の率を低くすることしかしていませんが、それでも月々の返済額が少なくなれば、少なくなった分を他の債権の支払いにあてることができ会社経営にゆとりが出ることにもなります。

 リスケは静岡地方裁判所に自己破産の申立てをすることや民事再生の申立てをすることとも違い、あえて区分すれば私的整理の概念に近くなり、当然な如く、会社経営は今までどおり出きることになります。

 会社の経営が苦しくなった場合、まず取引先の金融機関に相談し、借入金の返済条件を緩やかにしてもらい、会社の存続を図る必要があります。

 

2 リスケの具体的内容とその歴史

 リスケとは銀行からの借入金の返済猶予のことを言います。

 具体的には、銀行に対する返済計画を見直すこと、それに伴う新たな返済計画の策定や銀行と会社との間に借入条件等の変更の合意をなすということです。

 ところで、このリスケという用語が一般に広まったのは2009年12月以降です。

 この時、「中小企業等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」(略称「金融円滑化法」)が議員立法によって、2年間の時限立法として成立しました。

 2008年のリーマンショック後、銀行による貸し渋りに加えて、既存の貸付金の貸しはがしが横行しましたが、この「金融円滑化法」はこの事態を防ぐための法律でした。

 この法律は2013年3月末まで延長されましたが、その時点でこの法律の効力はなくなりました。

 しかし、金融庁はこの法律の精神を遵守するように各金融機関に求めましたので、この精神に沿ったリスケはその後も継続されていました。

 

3 コロナ禍に伴うリスケの再認識

 2020年3月6日、コロナ禍による会社の資金繰り悪化を心配した金融庁は、大臣談話により金融円滑法下で行われたリスケを事実上復活することにしました。

 そして金融庁は貸付条件の変更の外、円滑な資金供給がなされるようにと金融機関に命じました。

 とりわけ、業績が悪化している会社に対しては、政府系の金融機関の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、各都道府県の信用保証協会が資金供給に応じています。

 もっとも銀行がリスケをしても、貸付け先の会社の経営に対する見方は厳しく、会社に対する管理は強められました。

 

4 コロナ禍後の銀行の対応

 現時点ではコロナ禍もほぼ終息し、コロナ融資の返済も開始されています。

 コロナ禍後も会社の業績が上向かず、コロナ融資も返済できずやむなく会社の破産を申立てたケースも沢山あり、当事務所でも経験しています。

 多くの会社経営者は経営が悪化しても自己破産の申立ては嫌がるものです。

 この場合、銀行がリスケに応じてくれるか否かが自己破産回避のための最大の課題となりますが、それには会社の再建のための経営改善計画の策定がとても重要となります。

 そのためには会社経営者が粘り強く、誠実に銀行と交渉し、銀行の納得する経営改善計画を策定し、これを銀行に示さなければなりません。

 これが受け入れられれば、次に貸付金の条件変更の契約が締結されるということになります。

 この契約変更は、借入金毎に作成され、その中の項目は、金額、利息支払方法、連帯保証人、変更後の借入金の返済開始予定日となっています。

 この契約に従って円滑に契約が履行することが出きるか否かは借入金の返済開始予定日がいつになるかが重要ですのでなるべく資金繰りが安定するまでこの返済開始予定日を遅らせてもらうようにしたらよいと思います。

 

5 リスケを銀行にお願いする上での注意点

 一たん銀行にリスケのお願いをすると、その銀行から新たな融資を受けることはほぼ出来なくなり、又他の金融機関からも同様になると考えて下さい。

 追加融資により、苦況を脱したいと考えている場合は、早急にリスケを求めることにはリスクが生じます。

 リスケを求めることが会社にとって会社経営を上向かせる最良の手段であるかは、業界の将来の経営動向とも密接に関係していますので、いろいろなケースを考え、十分に検討する必要があります。

 又、会社の取引銀行が複数ある場合は、いずれの銀行に対しても平等な扱いをすることが大切です。

 しかし、リスケが成功するにはメイン銀行の理解が必要ですので、まず会社の経営改善計画は先にメイン銀行に説明しておくことがベターです。

 メイン銀行はリスケによって最大な不利益を被るのですから、こうした視点からまずメイン銀行の理解を得、それから他の金融機関の理解を得ることになります。

 メイン銀行が会社の再建を支援しているか否かが他の金融機関の動向にも大きな影響を及ぼすのですから、最初にメイン銀行の再建についての理解と承諾を求める必要があるのです。

 

6 リスケにおける会社の経営改善計画の重要性

 経営改善計画は、その場しのぎの机上の空論のようなものは銀行に通用しません。

 会社の経営者は、今までの経営の中身を詳細に分析し、その上で経営改善計画を立案する必要があります。

 売上げの増加は将来、どのような内容で実現するのか、現時点でどの位なものになるか、経費の削減はどのようにするか、売り上げを拡大する社内体制があるか等を十分に検討し、経営改善計画の中にそれらを反映させなければなりません。

 経営改善計画はこれからの会社の経営の青写真ではありますが、今までの会社の経営状況、すなわち、売上げや必要経費等の結果に依拠し、それに裏打ちされた説得力のあるものでなければなりません。

 各銀行から、この経営改善計画にいろいろ指摘がされることがありますが、新規の内容を加えたり、数字も柔軟に見直したりなどの姿勢が必要です。

 

7 まとめ

 以上のように経営改善計画に同意が得られ銀行との間で条件変更の契約ができれば、リスケを活用した会社の再生が可能になります。

 これで再生できれば会社の経営が悪化したことは取引先等に知れず、顧客や部品や商品供給先とも円滑に取引ができるということになります。

 もっとも、これには経営資金の確保ができるということが前提となっていますので、そのことが危ぶまれる場合には法的処置の手段を選択した方がベターかも知れません。

 もし、会社経営者の方で銀行のリスケの交渉が難しいということであれば50年以上の歴史を有する当事務所が銀行と交渉することも可能ですので、まずは当事務所にお気軽にご相談ください。

 リスケを求めるか否かということは弁護士に相談することではないと考える経営者もいらっしゃると思いますが、中小零細会社の友人であると思っている当事務所の弁護士にご相談いただければいくらかはお気持ちが明るくなるものと確信します。

 今後の事業展開にために、まずは相談をしていただくことをお勧めします。

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