解決実績
民事再生・
法人破産
約8000万円の負債があるなか、
無事に法人破産手続きを完了した居酒屋の破産事例
第1 概要について
債務者会社は,資本金800万円,発行済み株式の全てが会社代表者及びその親族所有という同族経営の有限会社でした。
債務者会社は,居酒屋を2店経営しており,当事務所に相談したときには,既に1店を閉店しておりました。会社事務所及び居酒屋店舗の2つの賃借不動産があり,従業員は合計8名おりました。
債務者会社は,約8000万円の負債を抱え,資産は約500万円ほどでした。破産の原因として,コロナによる居酒屋の売上低下,ロシア・ウクライナ戦争による原材料の高騰,賃借不動産の賃料の値上げ等が考えられました。
銀行からの借入金については,全て会社代表者が連帯保証人になっており,会社代表者も法人破産と同時に破産申立てをしました。
第2 申立てについて
会社財産の散逸防止のために,早い時期から当事務所が現金をお預かりして,管財人に引き渡せるようにしました。
賃借不動産,ライフライン,レジ等のリース品については,申立て前に解約手続きをするよう努めました。
銀行の引落しや売上金の入金の時期を考慮して,慎重に破産申立ての時期を選択いたしました。
第3 申立て後について
既に何度か債権者集会が開催され,現在は配当手続を行っております。
会社代表者が,法人の預貯金が十分残っている段階で,当事務所に相談に訪れたため,適切に助言して,申立をスムーズに行い,管財人に業務を引き継ぐことができました。
当事務所を最初に訪問した際には,会社代表者も会社経営の悩みが多く,不安気でしたが,現在は気持ちを新たにしてスッキリしております。法人破産でお悩みの方は,当事務所に気軽にご相談ください。
法人破産
約2億円の負債額がありつつも、
無事に法人破産を完了した事例
第1 破産会社の業務内容
破産会社は,大正元年,製茶業を創業し,その後,製茶業を拡大し,昭和59年に法人化し,平成18年4月,現代表者が就任しました。
破産会社は,農協から荒茶を仕入れ,自社工場で,仕上げ,再加工をし,製茶を袋詰めして,製品化していた。主な取引先は,国内大手スーパーであり,国内向けスーパーへは食品問屋へ,海外のスーパーへは輸入商社へ製茶を卸していた。その国内,海外の売上割合は,80%対20%でした。
破産会社の資本金は750万円、発行済株式総数は750株であり、同族会社であり,役員は、社長本人及びその妻でした。
また,破産会社は,事務所,冷蔵倉庫,工場を所有し,荒茶の保管,茶の仕上げ,製造を行っており,令和5年2月末日時点で、5名程の従業員がいたが、同日をもって退職しました。
第2 破産原因の存在
令和2年3月まで,破産会社の経営は順調でした。 ところが、令和2年4月頃から,新型コロナの影響で,観光客の減少に伴い,お茶の贈答品,お土産等の売上が減少し,また,スーパーへの買物客の減少に伴い,スーパーでのお茶の販売数が激減してしまいました。
一方,人件費等の固定費は従前のままでした。そのため,破産会社の経営は悪化し,借入金の返済が困難となってしまいました。
破産会社の資産は,金995万円程であり,これに対し、負債は、金1憶9988万円程であって,金1憶8992万円程の債務超過でした。
第3 自己破産の申立
令和5年2月末日,破産会社は,実質的に事業を停止し,同年6月14日,自己破産の申立てを行い。同年7月21日,破産開始決定がなされ,破産管財人が選任されました。
代表メッセージ

代表弁護士 大橋昭夫
私どもの法律事務所は、中小企業法務を重視し、今まで中小企業経営者の皆様方から多くのご相談をいただいています。
「中小企業こそ社会発展の原動力」であるとの理念を高く掲げ、今まで活動してきました。
昨今、静岡県内の多くの中小企業の売上げが減少し、苦境に陥っています。
この苦境を乗り切るために、当事務所はいくつかの法的メニューを用意しています。
まず、低利、無担保の融資を受けての企業の延命が第一ですが、満足な融資を受けることができず、資金繰りに窮する場合には、静岡地方裁判所への民事再生手続開始の申立てを勧めています。
自己破産は最後の手段です。最後の最後まで企業の延命を考え、それでも先行きの見通しがない場合には、自己破産の申立ても決して負の選択ではありません。
私どもの法律事務所の長い経験からしますと、自己破産は、真面目に経営し、社会の発展に貢献してこられた中小企業経営者の皆様方の人生の再出発になっています。
もし、自己破産の申立てを考えている場合、私どもの法律事務所にご相談いただければ、皆様のお気持ちも、いくらか楽になるものと思われます。
中小企業経営者の皆様方に、心より連帯の挨拶を送ります。
法人破産手続きの流れ
STEP1
破産申立の準備
破産の申立を弁護士に委任すると弁護士は全債権者に対して「受任通知」を送ります。
受任通知送付後は、弁護士が債権者の窓口となり、会社は債権者から直接の取り立てを受けなくなります。
会社破産について、弁護士は裁判所に提出する書類の作成を開始します。
そこには、破産に至った経緯や事情、現在の財産、債務の状況などについて詳しくまとめ、裁判所に報告する必要があります。
また、申立代理人弁護士は、債権者一覧表の作成を行います。
ここには、会社債権者をもれなく記載する必要があります。加えて、債権調査票を各債権者に送付し、債権額について調査します。
STEP2
破産の申立
破産申立書を管轄の裁判所に提出し、破産の申し立てを行います。
弁護士に委任した場合は弁護士が行いますので、代表者が裁判所に行く必要はありません。
STEP3
破産開始決定
破産の申し立てをすると、裁判所から破産管財人候補者が選任されます。
そして、静岡地方裁判所の場合、破産手続開始決定前に行う会社代表者の審尋はほとんどなく、東京地方裁判所で行われているような、破産管財人候補者との面談はありません。
破産の要件を満たしている場合は、「破産開始決定」が裁判所から出されます。
破産開始決定後は、破産会社の財産管理処分権は、管財人に移行します。
STEP4
会社財産の換価・調査
管財人が選任されると、管財人は会社の資産や負債の状況、代表者に不正がないかなどを調べます。
会社の代表者は申立代理人弁護士と共に会社の資産や負債状況について、管財人に説明する義務を負います。
管財人は会社の財産や債権の調査を行い、会社の財産を債権者に配当するため、金銭に変えていきます。
STEP5
債権者集会
破産開始決定後、裁判所において、債権者集会が開催されます。
債権者集会は、破産会社の債権者と裁判所に対して、破産に至った事情や会社の資産状況などを説明する場です。
個人の債権者などがいる場合には、債権者集会が紛糾する可能性もありますが、金融機関が債権者の場合、出席者がいない場合なども多くあります。
債権者集会は多くの場合は1回で終わりますが、債権者に配当する財産があるような場合などは、2回以上開催されることもあります。
STEP6
債権者への配当
配当とは、債権者と債権額を特定し、破産管財人が会社の財産をすべて換価した後に、債権者に対して会社の財産を配当する手続きです。
破産債権者には種類があり、優先的に配当を受けられる債権者と一般の債権者、劣後する債権者があります。
STEP7
廃止・終結
配当が終わると破産手続きは終了します。
配当をする財産がないときは「異時廃止」の手続きにより破産手続きが終了します。
破産手続きが終了すると会社は消滅します。
そして、裁判所書記官の職権によって破産手続き廃止や終了の登記が行われ、会社の登記も閉鎖されます。