銀行等に経営資金の融資を申込んだが円滑に承認を得られない!

1 はじめに

 会社の経営資金の調達を検討して、会社経営者の頭にまず最初に浮かぶのは銀行融資の申し込みであると思います。

 しかしながら銀行との取引期間が長いからといってそう易々と融資に応じてくれるわけではありません。

 あなたの会社を担当する銀行員があなたの会社の経営に理解がある人であっても銀行の上層部は貸倒れのリスクを考慮し、場合によったら、一時流行した貸しはがしの好機であると考えるかもしれません。

 ここでは銀行の融資の承諾が得られない場合の会社経営者の対処の仕方について考えます。

 

2 銀行融資が簡単に実現しない会社の特徴

 銀行が会社に融資する場合、審査の関門が待ちかまえています。

 審査が簡単に通る優良会社もあれば通らない会社もあります。

 銀行融資がうまく決まらない会社の特徴は次のように考えられています。

・直近の3期程度の会社の決算で赤字計上が続いている。
・融資金額や資金使途があいまいである。
・法人税や消費税を滞納している。
・世間に会社の悪い情報が流れている。
・他の取引銀行の返済状況もあまりよくない。

 これらが銀行融資の話がうまくいかない会社の特徴だとされています。

(1) 直近3期の会社決算が赤字であること

 この事実は、銀行から融資を断られる最大の原因です。

 銀行は融資した金額が確実に返済され、利息を順調に得られるかを最も重視しています。

 万一、融資先の会社が倒産した場合、融資したお金は回収できず貸倒れ処理をしなけらばならないことになります。

 貸倒れという事態を防止するために、銀行は赤字が3期も続く会社は将来も黒字を計上できないと評価し、厳しい審査がなされるものです。

 もっとも会社設立直後の創業時赤字や設備投資が多額になった場合の赤字は大目にみてくれます。

 又、今回のコロナ禍の経済停滞による赤字の発生もありますので、一過性の赤字だと判断された場合には融資もありえます。

 赤字が相当期間続き、負債が資産より大きくなっている債務超過の会社に対してはまず銀行融資はされないということになります。

 直近で赤字決算が続いている場合、会社の財務体質の改善を図らない限り銀行融資を受けることは、ほとんど、不可能だと考えた方がよろしいかと思います。

(2) 融資金額や資金使途があいまいであること

 融資希望金額や資金の使途があいまいである場合、銀行の審査が通らないことは多いと考える方がよろしいかと思います。

 銀行はあなたの会社が融資を希望する際、必ず融資の金額やその使途について確認します。

 会社は何のために資金が必要か、返済はどのような原資で賄うのか、何年で元利金の返済ができるのか等をはっきり説明しなければなりません。

 会社の経営理念や、今後どのように経営していくのかの方針を示さなければ、銀行はビジョンなき会社に融資はしないものです。

 会社は、当たり前のことですが、融資を受けるという弱い立場にあるのですから、銀行の貸し倒れになるのではないかという疑念をできる限り払拭しなければならないのです。

(3) 法人税、消費税の税金を滞納していること

 税金を滞納している会社に銀行は一般的に融資はしません。

 法人税、消費税の税金を滞納している会社は、融資金の返済も滞納するのではないかと銀行は考えるからです。

 会社の立場に立って考えれば、消費税の税率は10%と高く、赤字経営の会社にもかかってくるのですから、その支払いが滞ることもあり得るかと思います。

 しかし、銀行はそのような事情を理解はしませんので、まず融資を受けたいと考える場合は、税金の滞納解消をしておく必要があります。

(4) 世間に会社の悪い情報が流れていること

 取引先への支払いが遅滞しているとか、従業員に対する給与の支払いが滞納しているという、会社経営にとって悪い情報は、金融機関には何となく察知されるものです。

 このようなネガティブな情報が評判になると、銀行は融資に消極的になること があります。

(5) 他の銀行を含め、返済状況があまり良くないこと

 融資の審査において、銀行は、他の銀行に対する融資金の返済状況を調査するために、返済中の他の銀行の返済予定表や、会社の預金通帳のコピーの提出を求めることが多いものです。

 もし、この調査で他行への返済が1日でも遅れ、このことが露見されれば、融資信号への赤信号となります。

 融資を申し込む会社は、この延滞を解消してから融資の申し込みをすることがベターだと思います。

 

3 銀行が融資を断れない会社とは

 銀行から融資を断れない会社になることについて、会社経営者は次の諸点を常日頃から考える必要があります。

・融資金額やその使途に説明がつくこと。
・会社の毎期の決算書の説明ができること。
・財務体質の改善を図ること。
・税金等の滞納をなくすこと。

 これらが銀行融資が可能となる注意点であると思います。

(1) 融資金額やその使途に説明がつくこと

 銀行に融資を求める場合、融資金額や融資使途を明確にすることが大事です。

 会社が設備資金に資金が必要だと考える場合、見積書等の証拠を示して、銀行に説明をします。

 見積書等の証拠を示さずに設備投資に資金が必要だと言っても、銀行はにわかに信用してくれるわけではありません。

 また、返済計画についても、はっきりとさせなければなりません。

 設備投資のような前向きな融資の申し込みであれば、銀行も融資に積極的になると思いますが、滞納金の税金の支払いや、遅れている取引先への買掛金等の返済という後向き融資の申し込みでは、銀行も融資に消極的になるものと思われます。

 この場合も、会社は虚偽の事実を申告して融資を受けることがあってはなりません。

 正直に資金使途を明らかにして、このことにより、将来の経営が上向くということを誠実に説明しなければなりません。

(2) 会社の毎期の決算書の説明ができること

 融資を円滑に受けるには、会社経営者は、自分の会社の決算内容について十分に把握しておくことが大事です。

 銀行は直近3期の決算内容に注目し、その推移をきめ細かく見ています。

 大きく数字が増減している科目につきましては、銀行は必ずその推移の経過と原因について聞いてきます。

 会社経営者は、毎期の売上げ額はいくらであったか、営業利益はどの位出ていたかに注目しがちですが、特に大きく減っている科目の原因について注目しておくことが必要です。

 融資を受ける場合、減少している科目を分析しない限り、会社の経営実態は明らかにならないからです。

 会社の決算を顧問税理士に任せたままで、決算内容がどのようなものであるかを十分にわかっていない会社経営者もいますので、銀行融資を受けるに際してはマイナス要因となりますので、注意が必要です。

(3) 財務体質の改善を図ること

 一般的に、銀行は決算赤字の会社には融資をしたがらない傾向があります。

 将来倒産する可能性もあると考えられれば、融資の審査は通らないでしょう。

 銀行から資金の調達をして会社経営をするには、常日頃から、無駄な経費の支出はないか、売掛金の未回収はないか、在庫が増えているのではないか等の確認をし、会社の財務体質の健全化を図っておく必要があります。

 とりわけ会社保有の現金を多く持つことは何よりも重要ですので、注意しておきましょう。

(4) 税金等の滞納をなくすこと

 銀行は融資にあたり、公租公課の滞納を嫌います。

 税金や社会保険料の滞納のある会社は一般的に会社経営が悪化していることになりますし、ましてや、公租公課の滞納があれば、銀行の融資金に優先して回収されてしまうことになり、融資金の回収が不可能になり、貸倒れ処理をしなければいけないことになるからです。

 銀行から融資を受けるためには、まず、滞納した公租公課の支払いをしてからにすることが大事です。

 

4 まとめ

 銀行から融資を断られた場合、会社経営にマイナス要因となる資金調達を無理して探すより、残念ですが、会社の自己破産の申立てをした方が、会社経営者の皆様にとってプラスになることもあります。

 会社の自己破産という事態を招いたとしても、今までのあなたの経営実績や手腕がすべて無になったということではありません。

 この申立てが新しい人生の出発点だと前向きに考えた方が、今後の人生にプラスになる事が多いです。

 50年以上の歴史を有する当事務所は、代表者が静岡県中小企業家同友会の原始会員として、中小零細企業の経営者とも交際があり、中小零細企業の経営者に深い理解があります。

 会社の融資申し込みが円滑にいかない場合には、当事務所にお気軽にご相談下さい。  会社経営者のお気持ちはいくらかでも和らぐものと確信しています。

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