会社が倒産するときに代表取締役が問われる責任は?

はじめに

  会社の代表取締役の方は,会社破産をする際に,代表取締役個人が法的責任を負うことになるか不安になることが多いと思います。

  会社と個人は別個の法人格であり,会社が破産しても,代表取締役個人が会社の債務を負担することは原則ありません。

  しかし,会社が破産した場合,代表取締役個人が会社の破産について法的な責任を追及されることはあります。

連帯保証について

  会社が金融機関から借入をする際に,代表取締役個人が連帯保証人になることを求められることはあります。また,会社が不動産の賃貸借契約などをする際に,代表取締役個人が保証人になるように求められることはあります。

  このような連帯保証債務や保証債務が多額で,会社破産する場合,代表取締役個人も債務を負担するため,会社破産と同時に代表取締役個人も自己破産することを選択せざるを得ないです。

代表取締役の会社に対する損害賠償責任

  会社の代表取締役が,会社を破産させただけでは,会社に対して損害賠償責任を負いません。

  しかし,代表取締役と会社は委任関係にあり(会社法330条),代表取締役は,会社に対して,善管注意義務(民法644条)や忠実義務(会社法355条)を負います。代表取締役が,この善管注意義務や忠実義務に違反して,任務懈怠責任が認められる場合,会社に対して損害賠償責任を負います(会社法423条)。

  もっとも,代表取締役は,経営判断に大きな裁量があり,経営判断に著しく不合理な点がある場合に限定して,任務懈怠が認められることがあります。法令違反や会社財産の使い込み,明らかに無謀な投資などを行い,会社を破産させた場合,代表取締役は,会社に対して,損害賠償責任を負うことになると考えられます。

  会社破産の場合,会社の代表取締役に対する損害賠償請求権は,破産財団帰属の財産となり,破産管財人が代表取締役個人に対して損害賠償請求をすることになります。

代表取締役の第三者に対する損害賠償責任

  会社が破産した場合,債権者が損害を被ったとしても,それだけで代表取締役個人が損害賠償責任を負うことにはなりません。

  代表取締役の任務懈怠について悪意・重過失が認められる場合,代表取締役は,債権者などの第三者に損害賠償責任を負います(会社法429条)。

会社からの借入

  代表取締役が会社から借入をしている場合,代表取締役は会社に対して貸金の返還債務を負っています。会社が破産すると,破産管財人が代表取締役に対して貸金返還請求を行います。

会社が破産するからといって返さなくてもよいとはなりません。実際に代表取締役が借入をしていなくとも,帳簿上借入をしていたというような場合,破産管財人から返還請求される可能性もあります。

刑事責任

  代表取締役は,会社を破産させただけで,刑事責任を問われるということはありません。

  しかし,代表取締役が,刑法上の業務上横領罪や背任罪,会社法上の特別背任罪に該当する行為を行えば,刑事責任を追及されます。

  代表取締役が,会社の資産隠し,財産譲渡の仮装行為,財産価格を毀損する行為,財産の不利益処分などを行うと,詐欺破産罪(破産法265条)の責任を追及されることがあります。また,代表取締役が,偏頗弁済を行うと,特定の債権者に対する担保の供与等の罪(破産法266条)を問われることがあります。

  これらの行為は,基本的に,免責不許可事由に該当するため,代表取締役が個人破産する場合に,免責調査でも問題となります。

おわりに

  代表取締役は,法令違反や無謀な経営判断により会社を破産させると,代表取締役個人が責任を問われる場合があります。会社の破産が避けられない場合,資金移動や財産処分などを行うと管財人に不正行為を疑われる場合もあります。

  当事務所には,50年以上の歴史があり,会社破産についての豊富な知識や経験があります。会社破産や代表取締役の責任追及についてお悩みの方は,お気軽にご相談ください。

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