はじめに
中小・零細会社の社長が病気になって入院したり、その後治療の甲斐なく亡くなってしまうことは、どの会社でも起こりうることです。
このよう不測な緊急事態をあまり考えずに、常日頃の経営をしている中小・零細会社は多いのではないでしょうか。
万が一、このような事態が発生した場合、社長以外の人がとりうべきことについてお話ししたいと思います。
家族や従業員はどのようにしたらよいか
社長が病気になって入院した場合、社長の日常的な業務や意思決定ができなくなり、会社の業務に多大な支障が生じます。
社長が意識不明の重体になれば別ですが、意思表示が可能な場合は、他の役員や従業員が社長の指示を受け入れ、それに従って会社の業務を行うことになります。
しかし、社長が意識不明の状態になれば、社長は他の役員や従業員に指示をすることはできません。
その場合、会社の定款に他の役員が社長の権限を代行できる旨の規定があれば、それに従えばよいのですが、中小零細会社では社長以外の取締役がいない場合もあります。
こうした場合は、社長個人の成年後見人の選任を家庭裁判所に申立て、成年後見人を選任してもらい、この成年後見人が利害関係人として、地方裁判所に一時取締役の選任の申立てをすることになります。
又、株主も利害関係人ですので、一時取締役選任の申立てができます。
一時取締役は、次の取締役が選任されるまでの間、取締役の職務を行うことができる者であり、株主総会が開催されて、後任の取締役が選任されれば、一時取締役の職務は終了して退任することになります。
社長が死亡した場合にできること
社長が死亡した場合、社長の家族や役員、主だった従業員と話しあいをし、事業の継続をするのか会社をたたんでしまうかを決めなければなりません。
事業の継続をする場合には、社長の家族や役員、従業員の中に社長の後継者が存在すれば、その者が社長となって会社の経営をすることになります。
そのような後継者がいなければM&Aにより会社の株式を他に売却し、会社の経営から離れることになります。
会社の業績が良くなく、将来の改善も難しい場合、会社をたたむことも一つの方法です。
この場合、会社の資産や負債を確認し、負債の方が少ない場合は、任意整理をし、会社の解散手続きをして会社の登記を閉鎖することになります。
又、会社の債務が資産よりも多い場合には、地方裁判所に自己破産の申立てをして、会社をたたむことになります。
まとめ
会社を他に譲渡する場合でも、自己破産の申立てをする場合でも、社長の家族等が自分で処理することは無理があります。
当事務所は既に設立50年を経過しており、会社を他に譲渡したり、たたむ案件を数多く取り扱ってきました。
当事務所内に多くの経験が蓄積されていますので、お気軽にご相談いただけると幸いです。

