有限会社とは何でしょうか
現在、新たに有限会社を設立することはできません。
但し、現行の会社法施行時(平成18年5月1日)有限会社法に基づき、既に設立されていた有限会社は、定款変更や登記申請等の特別な手続きを要せずに、会社法施行後も会社法上の株式会社として、存続することができるようになりました。この有限会社は特例有限会社と呼ばれ、会社法施行後も、特に期限なく、旧有限会社法の規律が適用されることが特別に認められました。
たとえば、取締役の任期の最長限度が不要であることや、決算公告が不要であること等が、その代表的なものです。
今でも、かなり多くの小規模かつ閉鎖的な有限会社が特例有限会社として有限会社の名称をそのまま使用しています。
この特例有限会社は、いつでも定款を変更して、株式会社に商号変更すれば、特例からはずれ、名実共に株式会社となることができます。
特例有限会社が経営難になったときにできること
特例有限会社の経営が立ちいかなくなった際、会社をたたむ方法は株式会社の場合と何らかわりありません。
株式会社のように法人破産と民事再生の申立てがそれにあたります。
(1)有限会社の破産
有限会社の破産は、会社の資産を売却して、換価し、債権者への配当資金とし、配当が終了した後、会社の法人格を消滅させることです。
この場合、有限会社の役員が会社の債務を連帯保証していれば、その支払い義務を役員が負うことになります。
(2)有限会社の民事再生
有限会社の経営が行きづまった場合でも、債務の減免をしてもらったり、支払い時期をずらしてもらえば、経営を立て直すことができる場合もあります。この場合、自己破産の申立てではなく、民事再生の申立てが選択できます。
このように民事再生は破産と違って会社を存続させることが前提となっており、事業の継続が可能となります。
しかし、民事再生が可能となる場合は、会社経営者が立案した再生計画における弁済が、かなりの確率で実行可能であると考えられ、しかもかなりの数の債権者の賛同を得ていることが条件となりますので、民事再生による会社経営の立て直しはそう簡単ではありません。
また、減免の対象となる債務は、担保のない債務に限られていますので、注意が必要です。
有限会社が破産する際の手続きの流れ
有限会社の破産は、株式会社の破産と同じですので、破産の流れも何ら変わりありません。
まず、特例有限会社の経営者が自己破産の申立てをしたいと思った時は、破産に精通した弁護士に相談することがベターです。
作成する書類や収集すべき書類はすべて弁護士が把握していますので、その弁護士にお聞き下さい。
有限会社の破産申立てのおおよその流れは次のとおりになります。
(1)地方裁判所への自己破産の申立て
必要書類がそろったら、地方裁判所に有限会社破産の申立てをすることになります。弁護士に依頼した場合は、弁護士がすべてやってくれますので、ご安心ください。
(2)代表者に対する裁判官の審尋
自己破産の申立て後、担当裁判官と申立人代理人の弁護士、有限会社の代表者が面談する機会がもうけられます。
これが破産審尋と呼ばれるものです。
ここに破産管財人候補者が参加する場合もあります。
裁判官は、破産申立書や提出された各種書類をみて破産原因があるか否かを直接、当事者から確認することになります。
ここには債権者は参加していませんので、有限会社の代表者は裁判官から聞かれたことについて、ありのまま答えればよいのです。
(3)破産手続開始決定
裁判官は上記の書類や有限会社の代表者の審尋の結果をもとにして、破産手続きを開始するか否かを判断し、破産原因があると考えれば、破産手続開始決定をします。
(4)破産管財人の選任
破産手続開始決定と同時に、裁判官が弁護士の中から破産管財人を選任します。
破産管財人は、有限会社の資産や負債の状況等を調査し、財産があればこれを換価し、財団に組み入れ、破産債権者へ配当することになります。
破産会社の代表者は、破産管財業務について、破産管財人に協力する義務があり、会社の帳簿を含めた財産、負債のわかる資料をすべて引き渡さなければなりません。仮に会社の代表者が資産を隠しても、郵便等が破産管財人に郵送されますので、破産管財人に発覚されることが多いですので、正直、誠実に対応することが必要です。
(5)破産管財人の調査と換価処分
破産管財人は、上記のように有限会社の資産や負債を調査し、換価するものがあれば、金銭にかえ、破産財団に組み入れます。
又、破産管財人は有限会社に何かの不正行為がないかということについても調査します。
破産管財人はこれらのことを明白にするため、会社の代表者と何度か面談することがありますが、これに応じないと有限会社の代表者は破産法によって処罰されることがありますので注意しましょう。
(6)債権者集会
破産管財人の調査や換価処分の実施と並行して、地方裁判所において債権者集会が開催されます。
破産管財人による報告がなされ、調査や換価処分の状況等が説明されます。
この債権者集会に参加する者は、担当裁判官、破産管財人、破産申立代理人、有限会社の代表者、債権者ですが、冒頭に裁判官から会社の代表者に発言が求められることが多いですので、代表者はおわびの言葉を述べればよいでしょう。
債権者の中には破産について文句を言う方もいますが、普通はあまり紛糾することはありませんので、会社代表者はご安心ください。
当事務所の経験では、今まで誠実に経営をしていれば、債権者から有限会社の代表者に対して非難の言葉が出る事はほとんどありません。
債権者集会は何回も開催される事はそれ程多くはありません。
1回で終わってしまうことも多いです。
(7)配当
換価処分で得られたお金は、破産管財人によって債権者に配当されることになります。法律に基づき配当の優先順位が決められていますので、自己破産の申立人や代理人がやることは特にありません。
配当するお金がなければ、破産手続は廃止となり終了します。
(8)破産手続きの終了と有限会社の消滅
配当が終了すると、破産手続きが終了し、有限会社が消滅します。
有限会社の自己破産の申立てに必要なお金
有限会社の自己破産の申立てにはお金が必要です。
まず、有限会社が依頼した弁護士に着手金を支払わなければなりません。
各法律事務所で弁護士費用が異なりますが、ホームページ等をみれば大体いくらかがわかります。
依頼する弁護士と十分に協議し合意すればよいでしょう。
次に裁判所に予納するお金が必要です。
これは主として破産管財人の報酬に充当されるお金ですが、その他に申立てに要する印紙代、官報公告費用、予納郵券が必要になります。
会社の経営者の中には、これらのお金のことを考えずに、経営資金にすべてお金を使ってしまう方もいます。
このような場合、自己破産の申立てもできなくなる恐れもありますので、経営が立ちいかなくなったと感じると同時に弁護士に相談することをお勧めします。
有限会社を破産する場合の注意点
特例有限会社であれ、株式会社であれ、どの会社経営者も自分の会社を破産せることについては積極的に考えることができず、最後のお金が尽きるまで経営する方がいます。
そればかりでなく、他から借金してまで経営を続ける方がいます。
こうしたことは、当事務所の経験では、あまり良い結果をもたらしません。
経営が少しでも良くなくなっていると感じた場合には、その時点で会社の再生や破産に詳しい弁護士に相談することがベターです。
当事務所の破産申立てへの対応
当事務所は既に事務所設立50年以上の歴史を有する事務所です。
当事務所内には、会社破産に関する多くの知見と経験が蓄積されています。
会社破産に係る相談料は無料ですので、お気軽に当事務所にご相談下さい。
会社経営者の皆様方のお気持ちは当事務所の弁護士に相談することによって、いくらかでも晴れるものと確信しています。