はじめに
新型コロナウィルスの感染の拡大により中小・零細会社や個人事業の経営者の皆様に対し、資金繰りの支援のために、いわゆる無利子、無担保の「ゼロゼロ融資」がなされ、既に返済が開始されています。
新型コロナウィルスの感染拡大以前から経営が苦しく、新型コロナウィルスによりさらに売上げが上がらなくなった中小・零細会社や個人事業主の方々も借入れが容易になったため、この「ゼロゼロ融資」を利用した方々が多数います。
この「ゼロゼロ融資」により息を吹きかえした中小零細会社や個人事業主の方々も多数いますが、この融資によっても経営の立て直しをすることができなかった方々も少なからず存在し、当事務所でも、「ゼロゼロ融資」の返済ができず、自己破産の申立てを余儀なくされた方々の破産事件を取り扱いました。
ここでは「ゼロゼロ融資」の返済ができず、苦しい経営を続けている中小・零細会社や個人事業主の皆様方にその対処方法をご教示したいと思います。
返済が苦しい場合のリスケジュール(リスケ)や借り換えは可能か。
コロナ禍の経営不振が現在も継続し、経営を立て直せない中小・零細会社の経営者や個人事業主の方々は、まず「ゼロゼロ融資」の借入先金融機関に借入れの返済期限の延長を相談することが大事です。
国も、資金繰りに困難がある中小零細会社や個人事業主が存在することを考慮し、各金融機関に対して返済期間の延長や条件変更、借り換えなどの金融支援を要請しています。
又、中小企業庁は、「ゼロゼロ融資」の返済負担額軽減のための「コロナ借換保証」を開始しました。
この支援策は、最近1か月間の売上高が前年同月の売上高と比べ、5%減少していること、最近1か月間の売上高総利益率が前年同月、直近決算のいずれかの売上高総利益率と比較して5%以上減少していること、又は、直近決算の売上高総利益率が直近決算前期の売上高総利益率と比較して5%以上減少していること、最近1か月間の売上高営業利益率が前年同月、直近決算のいずれかの売上高営業利益率が直近決算前期の売上高営業利益率と比較して5%以上減少していることのいずれかの要件に該当していることが要件となっていますので、ご注意ください。
又、各地の自治体でも「ゼロゼロ融資」専用の借り換え制度を用意しているところもあります。
この場合、地元の市町に連絡し、そういった制度があるか否かを確認することが必要です。リスケについては、借入先の金融機関と相談しなければなりませんが、既に何回もリスケをしているような場合は、リスケによる返済条件の緩和は期待できないことが多いです。
返済できない場合は、思い切って自己破産の申立てを!
「ゼロゼロ融資」が返済できない場合、中小零細会社の経営者や個人事業主の皆様がカード会社等から個人的に借金をし、さらには知人や親族から借金をして返済金や売掛金等の支払いに充当しています。
このようなことは、決してプラスの結果をもたらすことはなく、かえって債務の増大を招き、知人等のうらみを買うことにつながっています。
もし、返済ができず、これからも返済の可能性があまりないと考えた場合には、地方裁判所に自己破産の申立てをすることも、他にこれ以上の迷惑をかけないと言うことでベターな方法です。
当事務所でも、過去に多くの中小零細会社や個人事業主が自己破産の選択をしています。
自己破産の申立ては、決して経営者個人の人生の敗北ではありません。
事業は「生きもの」であり、すべてが順調にいくとは限りません。
しっかりと真面目に経営をしていても、何らかの原因で経営がうまくいかなくなることは数多くありえます。
それまでの経営は、何らかの意味で、社会の発展や従業員の生活に寄与してきたことに思いをはせ、次の人生のスタートラインに立ち、これからの生活の充実をめざさなければなりません。
自己破産の申立てをすれば、資金繰りの悩みや、債権者からの取り立てに対する悩みから解放されることにもなります。
そこで少しでも経営が苦しいとお思いでしたら、1人でくよくよと悩まず、まずは当事務所の弁護士にご相談ください。
弁護士への相談は、なるべく早い時期に
経営者ご自身が1人で悩んでいても、すぐに解決策をみつけることは困難です。
一刻も早く弁護士に相談すれば、必ず解決策はみつかりますし、場合によったら、民事再生の選択をし、自己破産を避けることも可能になることがあります。
現実的には民事再生の申立てはなかなか困難ですが、最後の最後まで経営を続け、自己の手もとに何らの資金が残らないと自己破産の申立てに必要な裁判所に納める予納金や依頼する弁護士に対する手数料の支払いもできないということになります。
経営者として、このような事態を避けることが社会的な責任でもあります。
経営悪化に対して、弁護士がサポートできること
弁護士は経営者の皆様方から、ここ数年の経営状況についてお聞きし、経営が悪化した原因をさぐることになります。
このような打ちあわせの結果、取引先の金融機関に対し、返済条件の緩和や融資の可能性の有無を相談することも必要になる場合があります。
こうした場合、経営者の皆様と共に弁護士が金融機関に出向き、今後の経営方針の説明をすることも、弁護士の大切なサポート業務の一つです。
又、債権者の方々に説明に行くことも弁護士の大切なサポート業務の一つです。
もっとも、このような弁護士のサポート業務は、経営者自身の企業存続の意欲が強く、それを裏づける経済的事情も存在することが重要なことですのでまず、この条件を充たすことが必要です。
弁護士は、以上のようなことも仕事の一つとしていますので、まずはお気軽に相談いただければよいのです。
最後に
当事務所は創立以来、既に静岡県で50年以上活動をしています。
中小零細会社や個人事業主の苦しい経営も充分理解していますし、今までにも数多くの中小零細会社や個人事業主の自己破産の申し立てを経験しています。「ゼロゼロ融資」の返済不能の事例も取り扱ってきましたので、まずは一度、当事務所にご相談ください。
ご相談下されば、わずかでも明るさと明日への希望がわいてくるものと思います。
中小零細会社や個人事業主こそ、わが国の経済社会の原動力です。
そのような崇高な使命を有し、わが国経済社会の源泉である皆様方を当事務所は全力をもってご支援したいと思います。

