1 はじめに
飲食業の全国の倒産件数は、昨年(2024年)、900件近くもあり、過去で一番多かったようです。
静岡県内でも同様な傾向で、倒産状態に近い飲食業を営む会社のリスクをはらむ件数はかなり多いようです。
コロナ禍における国の各種支援策により、経営を継続してきた会社が、いわゆるゼロゼロ融資の返済の開始、物価高、人手不足等のいろいろな要因により、資金繰りに行き詰まり、倒産するケースが最も多いといわれています。
2 飲食業の高リスク会社の率
飲食業は個人事業を法人化した小規模で零細な会社が多いため、倒産状態に近い高度なリスクをはらんだ会社は、全業種の中でも一番多いといわれています。
帝国データバンクの最近(2025年2月)の調査によると、全業種内の約45%も占め、飲食業が、一番、物価高等の外部の経済的な環境変化に影響を受けていることがわかります。
大手の飲食会社は、コスト削減や価格転嫁により、何とか採算を維持することが可能だと思われますが、小規模で零細な会社は、原材料や人件費の高騰が経営の悪化原因になっても、これを直ぐに飲食代の値上げという形で価格にも反映できず、採算を度外視して経営を継続し、その結果、自己破産の申立てを余儀なくされることになるわけです。
小規模で零細な飲食業を経営する会社は、いずれにしても、経営上のリスクを抱えることが多いことは事実です。
3 自己破産の申立てを選択せざるを得ない場合
飲食業を営む中小零細会社や個人事業主の多くは店舗の賃料、人件費、物価高等によって、コロナ禍がほぼ終息したにもかかわらず、業績が回復しない中で経営を継続しているのが最近の現状です。
これは飲食業を営む者の責任のみに帰されるものではなく、多くは経済環境の悪化という外部要因によるものです。
そして、開業資金、運転資金、設備投資を銀行からの借入金で賄っている場合、その返済が圧迫要因になり、経営が益々悪化することになります。
銀行等への借金の返済を、さらに他から借金して賄う経営者も多いですが、それは根本的な解決にならず、会社の負担を益々増大させる要因になります。
このような経営状態に陥った時は、思い切って飲食業をやめることも大切なことです。
売上げが回復しない中での飲食業の継続は、経営者自身の苦しみはもとより、家族や親族を巻き込んでの経済的破綻を招くことにもつながり、絶対、避けなければなりません。
自己破産の申立ては、決して経営者の人生の終りではなく、新しい人生の出発点であると前向きに考えることも大切なことです。
4 自己破産申立ての手続
自己破産手続は地方裁判所に申立書を提出して開始されますが、飲食業を経営する方は、申立て前に次の諸点を行う必要があります。
・閉店スケジュールの作成
・従業員に対する解雇手続の説明と賃金の支払いの確保
・店舗の什器備品でリースされている場合のリース会社への返還手続
・残存している食材の処理
・賃借している店舗の明渡し
こうしたことは、自己破産申立て後に破産管財人にまかされることもありますが、申立人自身が破産手続の円滑な進行のために、まずやっておく必要があると思います。
5 飲食業の自己破産は当事務所にご相談下さい
飲食業経営者の方で店舗の閉店を考えている方は、一人で悩まず、まず当事務所にご相談下さい。
当事務所は既に50年以上の歴史を有し、過去に自己破産申立ては数多く受任し、飲食業についての会社や個人の申立ても数多く取り扱ってきました。
当事務所には過去の経験や知識が蓄積されており、経営者のお気持ちに沿って、経営者の将来の生活を共に考える立場に立って、暖かい処理を行っていくことを理念としています。
経営者の方々が安心して相談することができるものと確信しています。
6 当事務所の飲食業の破産の最近の取扱い例
A社は、資本金800万円の2店舗の飲食店を、主として家族で経営する小規模な会社でした。
従業員も家族を除き、ごく少数で、負債は8000万円、資産は500万円位で、過大な債務を抱えコロナ禍で無理して経営を継続してきました。
コロナ禍による飲食店の売上げ低下と、ロシアのウクライナ侵略による原材料の高騰等は、A社の経営を極度に圧迫し、A社の経営者は思いあまって当事務所に相談しました。
当事務所はA社の経営者と何度か話しあいを有し、経営の悪化は止められないとの結論になり、やむなく、自己破産の申立てをすることにしました。
そして、当事務所は会社財産の散逸防止のために、リース品についてはリース会社に返還し、賃借店舗も明渡し、入金についても当事務所で預かり、他から誤解されないように慎重に処理して、自己破産の申立てをすることにしました。
あわせて、A社の社長自身もA社の銀行に対する借金の保証をしていたため、自己破産の申立てをし、人生の再出発を図ることにしました。
当事務所は相談当初から、経営者に適切な助言をし、自己破産の申立てにそなえました。
経営者は初め悩み事が多く、不安な様子でしたが、今では人生の再出発を前向きにとらえ、新しい職場で生き生きと働いています。
7 まとめ
このように飲食業を閉業しても、今までの経営歴は全く無益で意味のないものになるわけではありません。
今までの経歴をこれからの人生にいかし、立派に社会の役に立つことはできるものです。
そのような前向きに人生を考える方々に対して、当事務所は地域の民衆事務所として最大限の力を発揮したいと思います。
相談料は無料ですので、当事務所にまずはご連絡下さい。 相談後にはあなたのお顔にわずかではありますが、明日を生きる希望が生まれるものと思います。