法人破産の破産管財人とは

1 破産管財人とは

  破産管財人とは,破産手続において,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者です。破産管財人は,裁判所が選任し,裁判所が監督します。

  破産者が個人で,資産が少額であり,免責調査が不要な場合は,破産管財人は選任されません。破産者が個人でも,多額の資産があり,財産調査や配当の可能性があったり,免責不許可事由が存在する場合は,破産管財人が選任されます。

  一方,法人破産の場合は,個人の場合と異なり,一般的に,複雑な権利関係があり,財産調査の必要性も高く,原則として,破産管財人が選任されます。法人破産の場合は,法人の代表者が法人の債務を連帯保証しているケースが多く,同時に,代表者個人も破産することが多いです。この場合,同じ破産管財人が,法人と代表者の破産管財人となることが多いです。

  大きな破産事件や複雑な破産事件だと,破産管財人が複数選任されることもあります。破産管財人は,裁判所の許可を得て,必要があるときは,破産管財人代理を選任することもできます。

(ア)破産管財人の役割

  破産管財人の役割として,主に,破産者の財産状況の調査,破産財団の換価,債権調査,配当,破産者の免責調査が考えられます。

  破産管財人は,選任後,破産申立書などの資料一式を踏まえて,破産者から聴き取りを行い,破産者及び破産財団の財産状況を調査します。基本的に,破産手続開始決定後,破産者宛ての郵便物は,破産管財人に回付されるため,破産管財人は,この郵便物を調査して,新たな財産を発見することもあります。

  破産管財人は,破産財団に属する不動産,動産,債権などの財産を換価して現金化します。不動産の売却など一定のものは,裁判所の許可を得て,換価します。破産管財人は,必要に応じて,金融機関に対して,預金及び出資金の有無や残高等の照会を行い,破産者が法人の場合は解約などの手続を取ります(破産者が個人の場合は,自由財産の問題があります)。その他に,保険の解約をして,解約返戻金を破産財団に組み込むなどの換価作業もあります。

  換価作業の結果,債権者への配当が見込まれる場合,債権者による債権届出が行われ,破産管財人は破産債権について債権調査を行います。破産管財人は,裁判所から債権届出書を受け取り,調査の上,債権認否一覧表を作成します。債権者から異議がなければ,破産債権は確定します。なお,財団債権については,基本的に,破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けます。

  破産管財人は,債権調査後,優先的破産債権などの配当の優先順位を確認し,配当の種類を選択します。実務では,配当可能額が1000万円未満の簡易配当が多いです。破産管財人は,配当表を作成し,配当に異議がなければ,配当を実施します。

  先程述べたように,法人破産の場合,同時に法人の代表取締役個人も破産申立てを行うことが多いです。破産管財人は,法人破産と同様に,代表取締役個人の財産調査なども行います。そして,代表取締役に免責不許可事由が存在しないか調査を行います。免責不許可事由が存在しても,裁量免責が可能な場合もあります。

(イ)どんな人が付くのか

  破産管財人には,基本的に弁護士が選任されます。弁護士法人も破産管財人になることはできますが,実務上は個人の弁護士が破産管財人になることが多いです。

  弁護士会の登録名簿を踏まえて,裁判所の破産係が,事案に応じて,能力及び経験のある弁護士を破産管財人に選任するものと考えられます。当該破産事件の当事者及び債権者と破産管財人候補者に利益相反関係がないかもチェックされます。

(ウ)破産管財人に係る費用

  破産の申立てを行う際に,裁判所に予納金を納める必要があります。予納金は,基本的に,破産管財人の報酬,財団債権の弁済,配当などに充てられます。少額管財事件となれば,予納金は20万円ですみます。しかし,負債が大きく,一般的に財産調査や財産管理,換価業務に労力を要する場合などは,予納金が高額になります。

  東京地方裁判所の運用だと,法人破産の場合,予納金は以下のとおりです。なお,静岡地方裁判所では,東京地方裁判所の運用に準じて,事案により,予納金の金額を変更しております。

負債総額5000万円未満     予納金70万円

負債総額5000万円~1億円未満 予納金100万円

負債総額1億円~5億円未満    予納金200万円

負債総額5億円~10億円未満   予納金300万円

負債総額10億円~50億円未満  予納金400万円

負債総額50億円~100億円未満 予納金500万円

負債総額100億円以上      予納金700万円以上

 破産申立人の代理人に弁護士が付き,申立人の財産調査を行い,公平な財産整理を事前に行い,資料とともに申立書をしっかりと作成しておくと,破産管財人の業務負担が軽くなるため,予納金も低額になりやすいといえます。

2 破産管財人に対する対応のポイント

  破産管財人は,破産財団に関する財産管理処分権を持っており,破産者の免責について意見する権限を持っております。破産者は,破産法上,説明義務が課されており,破産管財人に協力しなければなりません(破産法40条)。説明を拒絶したり,虚偽の説明をすると罰則が科されます(破産法268条)。破産管財人の職務を妨害しても罰則が科されます(破産法272条)。

  仮に,破産者に免責不許可事由が存在しても,破産管財人に誠実に対応して,情報提供を行い,換価業務に協力するなどすれば,裁量免責を勝ち取ることもできます。 

3 法人破産を弁護士に早期に相談するべき理由

  法人破産には,予納金などの高額な費用が必要となるため,資金が底をつく前に,早期に弁護士に相談するべきです。破産の必要性や今後の流れを説明できます。弁護士が早期に代理人となれば,財産調査,財産の保全を責任を持って行い,スムーズに破産申立てを行い,破産管財人に業務を引き継ぐことができます。結果的に,弁護士を早期に代理人にすることで,予納金の圧縮にもつながることになると考えます。

4 当事務所のサポート

  当事務所には,50年以上の歴史があり,破産業務に関する知見が蓄積しております。当事務所には,破産管財人経験者が多数所属しており,破産管財人の視点から破産申立て見ることができるため,破産についてお悩みの方のお役に立てると思います。

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