税金・社会保険料を滞納している場合の対応について弁護士が解説します!

1 はじめに

(1)資金繰りの悪化で税金・社会保険料の滞納から始まるケースが多い理由

  資金繰りの悪化により税金・社会保険料の滞納が始まるケースが多いです。その理由はいくつかありますが、税金・社会保険料の支払いの金額が大きいこと、人件費などから発生する社会保険料などの税金の支払いは売上が悪化しても直ちに金額が下がるわけではないこと、経営が悪化した企業は、家賃、給与などの即時停止ができない支出に優先的に支出することになり、大きい金額の納税が難しくなるという構造があるからと考えられます。

(2)「滞納しているから破産できない」は誤解であること

  税金を滞納していても破産申立はできます。そのため、税金の滞納を解消していなくても破産申立ができますし、早期の破産申立をすることによって税金以外の従業員の給料などの支払が確保できる場合もあります。

2 税金・社会保険料の滞納がある会社の状況

(1)法人税・消費税・源泉所得税の滞納

  法人税・消費税・源泉所得税について、会社の経営が正常であれば、納税が無事になされて滞納が発生しません。しかし、経営が上手くいっていない会社は消費税などを通常の支払とは別で分けたとしても、支払が追いつかない結果、消費税などで納めるべき金額が別の支払いに充てられることとなり、消費税などの税金が滞納するという事態が発生します。

(2)社会保険料(健康保険・厚生年金)・労働保険料の滞納

  社会保険料(健康保険・厚生年金)・労働保険料については、その金額の決定に際しては従業員の給料が基準となるため、経営が悪化したとしても、社会保険料等が簡単に下がるわけではありません。そのため、滞納が発生しやすいという事態が生じます。

(3)滞納が長期化するとどうなるか

  滞納が長期化した場合には、延滞金が加算されて完済が難しくなるだけでなく、預金、売掛金、土地建物などへの差押が続発することにより、経営が困難となります。特に、会社を自己破産したい場合には、申立による弁護士費用と破産管財人に支払う予納金が必要であることから、一定程度の現金を用意する必要があります。税金の滞納処分により資産が枯渇した結果、直ちに破産申立ができなくなってしまうというケースもしばしば見受けられます。

3 滞納処分(差押え)と破産手続の関係

(1)差押えとは何か

  差押えという手続は、お金を支払う義務がある人(債務者)の財産を勝手に処分できないようにし、最終的に支払いに充てるための強制的な手続きのことです。

(2)差押えが既に来ている場合、破産手続で止められるか

  差押えをされたとしても破産申立はできます。破産申立がされて、破産手続の開始決定がされた場合には、差押の手続は失効します。そのため、差押えがされた場合には、一刻も早く破産申立をして破産手続開始決定を得ることが先決となります。破産申立をした場合には、強制執行の中止命令の申立をすることができますが、強制執行そのものを失効させるわけではないので、一刻も早く開始決定を得ることが重要なことには変わりありません。

(3)差押え後に破産申立をした場合の財産の扱い

  差押えをした後に破産申立をしたとしても、それだけでは差押え自体を止めることはできません。差押えの効力は破産財団として予定されている財産に及んだままとなります。

4 法人破産をしていても、支払いが免れない場合

(1)法人が合名会社や合資会社の場合

  法人が自己破産をした場合、破産手続の終結後に税金の滞納が残ったとしても、当該法人は税金の支払は免除されます。

  しかし、法人が合名会社・合資会社である場合、合名会社の社員・合資会社の場合の無限責任社員は、会社の債務について無限責任を負うことになります。

(2)納税保証をしている場合

  代表者が納税保証をしている場合、法人が自己破産したとしても代表者は税金の支払義務を負っています。

(3)第二次納税義務がある場合

  破産した法人の事業を無償譲渡あるいは低廉で譲渡を受けたような場合には、譲受人が納税義務を引き続き負う場合があります。

5 滞納がある状態で破産を検討する際の実務ポイント

(1)税務署・年金事務所への事前連絡は必要か

  事前連絡が必要かどうかについてはケースバイケースになります。弁護士への相談をおすすめします。一概にはいえないところがありますが、納税の見通しがある場合には、早めに相談して分納等を許してもらうように交渉することも考えられます。一方で破産申立を避けることができない場合には、破産申立をすることを予告すれば、問答無用で差押え等をしてくる可能性がありますので、事前連絡よりも破産申立を優先すべきという選択肢が考えられます。

(2)破産手続開始後、差押えはどうなるか

  破産手続開始決定により、差押えの効力は失効します。税金もその性質にしたがって、財団債権、優先的破産債権などに分類され、弁済や配当を受けることによって回収がなされていきます。

(3)代表者個人の財産への影響

  法人が破産をしたからといって、個人の財産について差押えがされるということは原則としてありません。ただし、代表者が納税保証をしている場合などについては、代表者が支払義務を負うことになります。この場合、代表者も分納等の交渉をすることになります。法人の借入について代表者が保証しているような場合には、法人の破産により、代表者も自己破産あるいは経営者保証ガイドラインなどの利用を余儀なくされることがあります。税金の支払は非免責債権とされていることから、破産手続が終結したとしても支払義務が残ることになります。

6 弁護士に相談するメリット

  法人が破産をする場合に重要なことは、いかに弁護士費用及び予納金を確保するかにあります。弁護士に相談をして的確なアドバイスを得ることで財産の散逸防止や早期の破産申立がなされることが期待できます。特定の債権者に弁済をすることや財産の投げ売りなどは破産法上の否認権対象行為として好ましくない行為とされています。弁護士に相談することで破産法上の好ましくない行為をすることを避けることができます。

7 当事務所でのサポート

  当事務所は創業から50年以上の歴史を有する事務所です。法人破産の申立についても、様々な業種の破産申立を経験しております。破産申立を実際に検討している方、破産申立をすることを迷っている方であっても、代表者の思いに寄り添い、解決に向けての助言や依頼を受けて解決をしてきました。破産申立をすることを迷っていたとしても、遠慮なく相談して頂ければ幸いです。当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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